あ行 梅 う 梅 - ひと晩に咲かせてみむと、梅の鉢を火に焙りしが、咲かざりしかな。 く 草 - 不来方のお城の草に寝ころびて 空に吸はれし 十五の心 だ 大根の花:1 - 宗次郎に おかねが泣きて口説き居り 大根の花白きゆふぐれ だ 大根の花:2 - 真白なる大根の根の肥ゆる頃 うまれて やがて死にし児のあり だ ダリヤ - 放たれし女のごとく、わが妻の振舞ふ日なり。ダリヤを見入る。 つ 躑躅 - わが庭の白き躑躅を 薄月の夜に 折りゆきしことな忘れそ と 玉蜀黍 - しんとして幅広き街の 秋の夜の 玉蜀黍の焼くるにほひよ は 浜薔薇 - 潮かをる北の浜辺の 砂山のかの浜薔薇よ 今年も咲けるや ひ ひばの木 - ふるさとの寺の畔の ひばの木の いただきに来て啼きし閑古鳥! み 蜜柑 - そことなく 蜜柑の皮の焼くるごときにほひ残りて 夕となりぬ や 矢ぐるまの花 - 函館の青柳町こそかなしけれ 友の恋歌 矢ぐるまの花 や 柳 1 - やはらかに柳あをめる 北上の岸辺目に見ゆ 泣けとごとくに り 林檎 - 石狩の都の外の 君が家 林檎の花の散りてやあらむ れ れつどくろばあ - 『紅苜蓿』 啄木が寄稿し 後に編集もした「苜蓿社」の雑誌名 わ 忘れな草 - 思うてふこと言はぬ人の おくり来し 忘れな草もいちじろかりし |