啄木行事レポート
「泣き虫なまいき石川啄木」
こまつ座公演紀伊国屋ホール 2001.03.10
---泣き虫でなまいきな啄木見いつけた---
ついに見に行きました。
入口には こまつ座の半被を着た座員もいて
お芝居の雰囲気を盛り上げています |
こまつ座公演『 泣き虫なまいき石川啄木 』
井上ひさし 作 鈴木裕美 演出
2001年3月1日〜23日 新宿・紀伊国屋ホール
こまつ座 TEL 03(3862)5941
石川 一 高橋和也 石川節子 細川直美 金田一京助 梨本謙次郎
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舞台は しゅらば 人生も修羅場
同じ空間に初夏があり、夏があり秋も冬も。そして年が代わりまた冬があり・・・狭い舞台に、人間が生き歴史が流れていく。
小さな場所にそれらが全てあることがすごい。
天井から下がった電灯の色。灯りかた消えかた。「ほーっ」と明かりが灯ると暖かさが伝わる。
汗や唾の飛んできそうな贅沢な席で、潮の香りがしたり、シャキシャキと削られる氷の、細かい飛沫が顔に飛んできそうだった。
どうにもならない貧乏を抱えて咳ばかりしている家族。
ほっかむりの啄木を見つけた。転げ回る京助さんを、仏壇を懐に隠すおとうさんを、死んだ孫に何もかも頼むおかあさんを、教会に居場所を決めた妹の光子を見つけた。
そして、啄木が書いた日記の中に自分を見つけたからこそ、それを焼くことが出来なかった節子に逢えた。
第71回朝日賞を受賞された井上ひさしさんが贈呈式のスピーチで仰っていました。
悩みごとや悲しみは最初からあるが、喜びはだれかが作らなければならない。(という詩を紹介して)
この喜びのパン種である笑いを作り出すのが私の努めです。これからも笑いをコツコツと作っていく決心です。
そのことでこの世界の涙の量を1グラムでも減らすことができれば、こんなうれしいことはありません。
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舞台の上の人たちが、必死に生きていることへの共感と、でも笑わずにいられないおかしさで、客席は沸いていました。
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