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啄木文学散歩

千葉県:市川市 東山魁夷記念館 


○東山魁夷記念館(千葉県市川市)の展示文に「啄木」という字を見つけた。

 

 

  

「東山魁夷記念館」
右側の窓の多い部分に展示室がある。

 

○東山魁夷----啄木

『新吉の歌』と題された自家製歌集が残されています。東山新吉14歳から16歳までに作られた短歌400首、『道程』という表題がつけられ、自序と目次もついています。

 

旅にして心わびしき
夕まぐれ
千鳥の声のいとど身にしむ

波の音淋しく聞きつ
今日もまた
磯の伏屋にいぬる我はも

 

といった歌があります。日記に見られる明るさとは対照的ですが、石川啄木などの影響のもと、少し背伸びをした表現をしているようです。
「弟の歌」と題された章があります。日記にもあるように、新吉は八つ年下の弟・泰介を本当にかわいがっていました。

 『東山魁夷ものがたり』 佐々木徹著 ビジョン企画出版社 2002年

 

  

 「記念館入口」
留学したドイツに想をえた八角形の塔の下が入口。
二階部分はぬくもりのある展望休憩室になっている。

 

  ○「弟の歌」

ひとときの怒りにまかせ
弟を泣かした後の
淋しき心

弟は
我が幼き日の姿なり
我も彼の如無邪気なりしか

たはむれに
腹を切る真似してみれば
弟は泣きて母を呼びにき

つねづねに
言ふ事聞かぬ弟が
病みておとなしくなりにけるかな

 

 

「左側部分は多目的室」
ショップやカフェレストランもあり、一休
みしながら
「KAIIの森」の緑が楽しめる。

 

  

 サルビア・グアラニティカ」
記念館を囲むように「KAIIの森」が
あり、樹木や花が美しい。

(2008年-秋)


・東山魁夷(ひがしやま かいい)

1908年7月8日 - 1999年5月6日(享年90歳)

昭和期を代表する日本画家。
横浜市に生まれる。本名新吉。東京美術学校(現東京芸術大学)日本画科卒業後、ドイツのベルリン大学(現フンボルト大学)に留学。1945年応召し、熊本で終戦を迎える。

1945年11月、千葉県市川市に移り、この地で50年以上にわたり創作活動を続けた。2005年、自宅に隣接して「市川市東山魁夷記念館」が開館した。
画集のみならず文章家でもあり画文集など、著作は数多い。

代表作品
・「残照」東京国立近代美術館蔵
・「道」東京国立近代美術館蔵
・「濤声」「山雲」唐招提寺障壁画
・「朝明けの潮」皇居新宮殿壁画

 

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